上陸時期実験
背景
 私たちは、2013年に長浜市中部地域に生息するカスミサンショウウオの産卵地を調査し、生息地をいくつか発見しました。しかし、その生息地では梅雨の時期に雨が降らず、水枯れが起こり、カスミサンショウウオの幼生が6月中旬にいなくなりました。これはもしかすると、水深が低くなったことにより、カスミサンショウウオの幼生が早く上陸したのではないかと考え、実験を行うことにしました。
目的・方法
 はじめにT〜Wの4グループに分け、T〜Vは水深を40mm、Wは水深5mmとしました。それらに、孵化後31日目のカスミサンショウウオをそれぞれ5匹ずつ入れ、同じものを5ケースずつ用意しました。そしてそれらを2、3日おきに水換えとエサやりを行いました。水深の変化については、5月7日を実験開始日、1日目、と定義し、19日目にVの水槽の水深を40mmから5mmに変化させ、38日目にUの水槽の水深を40mmから5mmに変化させました。またT・Wの水槽の水深はそれぞれ40mmと5mmで一定に保ちました。そして、実験期間中の上陸時期を記録しました。
結果・考察
 カスミサンショウウオの上陸数をグラフに、上陸数と死亡数を表に示しています。このグラフの赤色で示したものが水深が40mmで変化なしのTの実験区、橙色で示したものが40日後に水深を40mmから5mmに変化させたUの実験区、 水色で示したものが20日後に水深を40mmから5mmに変化させたVの実験区、青色で示したものが水深5mmで変化なしのWの実験区です。 6月13日〜7月12日を実験前半、7月13日〜8月12日を実験後半としました。
 まず実験前半をでは、T,Uの実験区では上陸数が多く、V,Wでは上陸数が少なくなっています。次に実験後半をでは、T,Uの実験区では上陸数が少なく、V,Wでは上陸数が多くなっています。
 この結果から水深が浅い所で育ったカスミサンショウウオの方が、上陸が遅れると考えられます。
結論
 つまり、5月下旬以降に水深が減少した場合、カスミサンショウウオの上陸時期が遅れ、水枯れにより幼生が全滅する危険性が増すということです。
 よって、5月下旬〜6月中旬に降水量が少なく、水深が低下した場合、給水して水深を一定以上に保つ、また水深が一定以下になった場合、幼生を回収し保護するなどの対策を講じる必要があります。
謝辞
 調査・保護飼育にあたりご指導をいただいた 長浜バイオ大学 齊藤 修 教授 はじめ齊藤研究室の皆様に心より感謝を申し上げます。


2013年度
追記
 溶存酸素やpH等の影響を探るために、2014年度も水深を変えて上陸時期のずれを確かめる実験を行いました。しかし、その実験では、水深によって上陸時期に明確な差は認められませんでした。したがって、2013年度の実験はさらなる検証を必要とします。



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